あなたは車での移動が多い方ですか?
ETCは高速道路の料金支払いがスムーズになるというメリットがありましたが、その後継となるETC2.0が登場し、さらに進化した機能を持っています。
でも、そのETC2.0、本当にすべての人にとってメリットがあるのでしょうか?
ETC2.0の導入を考えているけど、ETCからのアップグレードに必要なコストや新たな機能が本当に必要なのか迷っているあなたに向けて、この記事ではETCとETC2.0の違い、そのメリットとデメリットについて解説していきます。
ETCのメリットはなくなった?
ETCのメリットがなくなったという意見もあります。
その理由は、スマートフォンの普及により、多くの情報が手元で手に入るようになったからです。
一方で、ETCは自動的に料金を支払うだけでなく、通行情報を収集してドライバーに提供することで、高速道路の利用をスムーズにする役割があります。
しかし、これらの情報はスマートフォンでも簡単に得られます。
それでもETCは便利だと感じるドライバーもいるでしょう。
つまり、ETCのメリットがなくなったかどうかは、個々のドライバーのニーズやスマートフォンの利用状況によるところが大きいと言えます。
ETC2.0のメリット
ETC2.0はあまりメリットがないと言われています。
個々の使用状況に応じて、メリットの有無は変わると思いますが、一般的にメリットと言われている部分をご紹介します。
渋滞情報の取得範囲拡大
ETC2.0の一つのメリットは、渋滞情報の取得範囲が大幅に拡大したことです。
特に、長距離を頻繁に走行するトラックドライバーにとっては、この機能は有益な人もいることでしょう。
ETC2.0は最大1000km先までの渋滞情報を取得可能で、これにより、遠くの目的地へ向かう前に渋滞による時間の遅延を予測し、計画的な運行が可能になります。
しかし、個人のドライバーにとっては、この機能は必ずしも必要なものではないかもしれません。
日常的な走行範囲が限られている方や、長距離のドライブを頻繁に行わない方にとっては、遠くの渋滞情報はあまり意味を持たないかもしれません。
また、あまりにも多くの情報が手に入ると、逆に混乱を招く可能性もあります。
これらを考慮すると、この機能の真の価値は、ドライバーの個々のニーズや生活環境に大きく依存すると言えます。
観光情報の取得
ETC2.0のもう一つのメリットは観光情報の提供です。全国のSAPAの「ITSスポット」で観光情報を得られるのです。
これはドライブ中に見つけた観光地についての詳細な情報をすぐに得られるという利点があります。
しかしこの機能の情報量はまだ少ないと言われており、現状は期待しない方が良さそうです。
一時退出
ETC2.0には一時退出という特徴もあります。
これは、特定の道の駅で一旦降りて利用した後、同じICから再乗車した場合、料金計算は連続走行とされるというものです。
これにより、「初乗り料金」や「長距離低減制度」のメリットを享受することができます。ただ、対象の道の駅が全国で23箇所しかありません。
社会実験中でもあるので、利用者が増えたり実験が成功したら、対象の道の駅が増えるかもしれませんね。
都道府県 | 高速道路名 | IC名 | 道の駅名 |
岩手県 | 八戸自動車道 | 九戸IC | おりつめ |
宮城県 | 東北自動車道 | 村田IC | 村田 |
福島県 | 磐越自動車道 | 猪苗代磐梯高原IC | 猪苗代 |
茨城県 | 首都圏中央連絡自動車道 | 五霞IC | ごか |
群馬県 | 関越自動車道 | 高崎玉村SIC | 玉村宿 |
千葉県 | 富津館山道路 | 鋸南保田IC | 保田小学校 |
千葉県 | 首都圏中央連絡自動車道 | 木更津東IC | 木更津うまくたの里 |
山梨県 | 中部横断自動車道 | 白根IC | しらね |
新潟県 | 北陸自動車道 | 親不知IC | 親不知ピアパーク |
福井県 | 舞鶴若狭自動車道 | 小浜IC | 若狭おばま |
愛知県 | 新東名高速道路 | 新城IC | もっくる新城 |
滋賀県 | 名神高速道路 | 栗東IC | アグリの郷栗東 |
兵庫県 | 舞鶴若狭自動車道 | 春日IC | 丹波おばあちゃんの里 |
広島県 | 中国道 | 千代田IC | 舞ロードIC千代田 |
広島県 | 中国道 | 戸河内IC | 来夢とごうち |
島根県 | 中国道 | 六日市IC | むいかいち温泉 |
鳥取県 | 米子道 | 江府IC | 奥大山 |
山口県 | 山陽道 | 徳山西IC | ソレーネ周南 |
愛媛県 | 高知自動車道 | 新宮IC | 霧の森 |
徳島県 | 徳島自動車道 | 美馬IC | みまの里 |
宮崎県 | 九州自動車道 | えびのIC | えびの |
熊本県 | 九州自動車道 | 人吉球磨SIC | 人吉 |
長崎県 | 長崎自動車道 | 東そのぎIC | 彼杵の荘 |
安全運転と災害時の支援
ETC2.0は、安全運転の支援と災害時の対策に大いに役立ちます。
まず、ETC2.0は
- 車線合流
- 急カーブ
- 落下物
- 車両事故
など、事故を防ぐための情報をリアルタイムで提供します。
そのため、運転中の不安を大幅に軽減することが可能です。
事実、ETC2.0を使用している80%以上のドライバーが、車載器の情報により危険を認識し、適切な回避行動を取ることができるという調査結果が出ています。
さらに、ETC2.0は事故が多発するカーブやトンネル出口などの危険地点で注意を喚起します。
例えば、首都高速道路の参宮橋カーブでは、ETC2.0の渋滞情報の提供により、交通事故を60%も減らすことができたという事例があります。
さらに、ETC2.0は、災害時の安全な避難を支援します。
地震が発生した場合、ETC2.0は
- 災害発生情報
- 緊急規制情報
- 走行可能ルート
- 避難地情報
などを提供します。
これらの情報は、予測不可能な災害時にも冷静に行動をとることを可能にします。
圏央道利用時の割引
圏央道利用時にETC2.0であれば、ETC2.0だけの割引を受けられます。
割引の対象区間は
- 圏央道(茅ヶ崎JCT~海老名JCT、海老名~木更津JCT)
- 新湘南バイパス(藤沢~茅ヶ崎JCT)
です。
ただ、割引額はあまり大きくないので、毎日利用する人や毎日ほどではなくても頻繁に利用する人であれば、ありがたい割引です。
①大井松田 ⇔ 相模原(44.9km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 1,230 | 1,150 | 80 |
普通 | 1,500 | 1,390 | 110 |
中型 | 1,770 | 1,650 | 120 |
大型 | 2,370 | 2,200 | 170 |
特大 | 3,840 | 3,550 | 290 |
②入間 ⇔ 境古河(62.1km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 1,780 | 1,510 | 270 |
普通 | 2,180 | 1,850 | 330 |
中型 | 2,580 | 2,180 | 400 |
大型 | 3,490 | 2,940 | 550 |
特大 | 5,710 | 4,790 | 920 |
③つくば中央 ⇔ 神崎(34.4km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 1,040 | 910 | 130 |
普通 | 1,280 | 1,100 | 180 |
中型 | 1,510 | 1,280 | 230 |
大型 | 2,010 | 1,700 | 310 |
特大 | 3,280 | 2,720 | 560 |
④松尾横芝 ⇔ 木更津東(59.0km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 1,690 | 1,430 | 260 |
普通 | 2,070 | 1,750 | 320 |
中型 | 2,450 | 2,070 | 380 |
大型 | 3,300 | 2,780 | 520 |
特大 | 5,400 | 4,530 | 870 |
東海環状自動車道利用時の割引
こちらも圏央道と同じくETC2.0だけの割引を受けられます。
①土岐南多治見 ⇔ 関広見(39.0km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 1,180 | 1,010 | 170 |
普通 | 1,430 | 1,220 | 210 |
中型 | 1,680 | 1,430 | 250 |
大型 | 2,250 | 1,910 | 340 |
特大 | 3,650 | 3,070 | 580 |
②豊田松平 ⇔ 関広見(72.5km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 2,050 | 1,730 | 320 |
普通 | 2,520 | 2,130 | 390 |
中型 | 2,990 | 2,520 | 470 |
大型 | 4,050 | 3,400 | 650 |
特大 | 6,640 | 5,560 | 1,080 |
③大垣西 ⇔ 養老(9.1km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 400 | 360 | 40 |
普通 | 460 | 410 | 50 |
中型 | 520 | 460 | 60 |
大型 | 650 | 570 | 80 |
特大 | 980 | 840 | 140 |
④菰野 ⇔ 大安(16.0km) | |||
車種 | ETC2.0以外 | ETC2.0 | 割引額 |
軽 | 540 | 510 | 30 |
普通 | 640 | 600 | 40 |
中型 | 730 | 680 | 50 |
大型 | 950 | 880 | 70 |
特大 | 1,480 | 1,360 | 120 |
ETC2.0のデメリット
ETC2.0は便利さと新機能が魅力的である一方で、特に「本体価格が高額」であることと、一部のユーザーからは「情報取得機能があまり良くない」との声もあるというデメリットも存在します。
これらはETC2.0を導入する際に検討すべきポイントであり、各自の利用状況や予算に応じて考える必要があります。
以下に、これらのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
本体価格が高額
ETC2.0の利点はたくさんありますが、一方でデメリットもあります。
その中でも大きな問題点として、多くの人が挙げるのが「本体価格が高額」であることです。
ETC2.0の車載器は、一般的なETCの車載器よりも価格が1万円〜2万円高い傾向にあります。
このため、予算が限られている人にとっては、少々ハードルが高いかもしれません。
工賃は含まれていますが、イメージはしやすいと思うので、オートバックスのETC取り付け工賃コミコミセットで比較してみましょう。
品番 | ETCの規格 | 型 | 金額 |
CY-ET926D | ETC 1.0 | – | 15,400円 |
CY-ET2620GD | ETC 2.0 | GPS付発話型 | 26,800円 |
CY-ET2010D | ETC 2.0 | カーナビ機種専用連動型 | 28,800円 |
CY-ET2500VD | ETC 2.0 | カーナビ機種専用連動型, 光ビーコン付 | 44,800円 |
*全てパナソニックの製品で統一しています。
ETC2.0の中で一番安い物でも、26,800円でETC1.0の車載器と比べると1万円も差がありますね。
一番高い物だと、約3万円も違います。
ETC2.0に差額分の価値があると思うかどうかですね…
情報取得機能があまり良くない
さらに、「情報取得機能があまり良くない」という意見も一部から聞かれます。
ETC2.0は渋滞情報や観光情報など、さまざまな情報を提供しますが、情報の取得範囲が広すぎて、不必要な情報まで取得してしまうこともあります。
このように、情報の取得という点においては、改善の余地があるといえるでしょう。
また、カーナビと連動させていなくても、GPS付発話型のETC2.0であれば、情報を音声で聞くことはできます。
ただ、音声だけの情報で理解するのは難しく感じます。
カーナビ連動であれば、絵などで情報が見れたりするので、ある程度便利かもしれません。
ETCのメリットはなくなったかまとめ
最後に、「ETCのメリットはなくなったか」という問いについてまとめます。
一言で言うならば、「ETCのメリットはまだしっかりと存在します」です。
ETC2.0は新機能を多数提供していますが、それによりETCのメリットが全て消えたわけではありません。
ETCはシンプルでコストパフォーマンスに優れているというメリットが依然として存在します。
特に、情報取得機能に頼らず、あくまで自動料金収受が目的のユーザーにとっては、ETCの方が適していると言えるでしょう。
つまり、ETCとETC2.0、どちらが良いかは、それぞれのドライバーのニーズによるというのが結論です。